怖ろしや大衆社会

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23時~7時、白河夜船。日曜劇場「小さな巨人」第1話をみてしまったので遅くなってしまった。ドラマのキャッチフレーズが「敵は味方のフリをする」だったが、警視庁捜査一課のみならず、すべての官庁、役所、役場、企業などの背広組というのはこうした疑心暗鬼の中で生きている。それはつまり選民意識がそうさせているワケだが、巷間の大衆社会においても他人の幸福顔に嫉妬し、悪口から始まり嫌がらせ、排除、タレコミといった罠が仕掛けられていく。いやはや人間って恐ろしいのう。
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傑作『小さな巨人』が極めた超単純=王道…『半沢直樹』感丸出しで『A LIFE』超え確実
【Business Journal】2017.04.17 http://biz-journal.jp/2017/04/post_18737.html

 これまで『半沢直樹』『下町ロケット』をはじめ数多くのヒット作を生んできた、TBS系日曜夜9時台の連続テレビドラマ枠『日曜劇場』。その今クール作『小さな巨人』第1話が16日、放送された。

 主人公の香坂真一郎(長谷川博己)は警視庁の花形部署、捜査第一課に所属し出世コースをひた走る優秀な刑事だったが、酒を飲んだ状態で職務質問をするという失態をおかし、所轄の芝署に“飛ばされ”る。その芝署管轄区でさっそくゴーンバンク社長・中田和正(桂文枝)の誘拐事件が起こり、芝署内に捜査本部が置かれるが、捜査は捜査第一課が仕切り、芝署の刑事は爪弾きにされてしまう。そこで香坂は芝署の刑事、渡部久志(安田顕)らと独自で捜査を進め、ついに犯人の重要な手がかりをつかむが、その手柄をすべて捜査第一課に取られてしまい、再び香坂らは捜査から外されることに。

 だが香坂は突然、元上司である捜査第一課長の小野田義信(香川照之)に呼び出され、翌日行われる昇格試験を受験すれば小野田の力で合格させ、香坂を捜査第一課に戻してやると告げられる。その直後、誘拐犯と接点のある渡部から自分が犯人に自首を説得したいとの申し出を受けた香坂は、自身の捜査第一課復帰に支障が出ると考え、それを却下する。

 しかし翌日、香坂は昇格試験を受験せず、渡部に犯人への自首説得を独断で許可し、その一方で小野田に対しても許可もらえるよう土下座して直訴するが、小野田はそれを認めず、犯人潜伏先への強行立ち入りに踏み切り逮捕に成功する。そして香坂は小野田に対して、捜査第一課が隠そうとしている事件の真相を芝署独自で捜査して掴むと言い、捜査第一課に“宣戦布告”するところまでが、第1話で放送された。

「正義vs.悪」

「警視庁vs.所轄署」という対立を軸とするドラマはこれまで、古いものでは『踊る大捜査線』(フジテレビ系)をはじめ量産されてきたが、『小さな巨人』も同様に「悪=警視庁」と「正義=所轄署」の対立という単純な構図をベースとしている。日曜劇場といえば『半沢直樹』や『下町ロケット』『ルーズベルトゲーム』をはじめ、過去のヒット作はこの非常にわかりやすい「正義vs.悪」という対立構図を鮮明に打ち出し、“カネかかってるな感”丸出しの豪華さで、さらにオーバーな演出が視聴者に受けてきたが、『小さな巨人』もまさにこれらの手法を踏襲している。というか、完全に『半沢直樹』の舞台をそのままそっくり警察に置き換えたといっていい。カメラワークをはじめ、演出手法もそっくりだ。

 つまり「単純明快な対立構図+豪華+派手な演出」というわかりやすいつくられ方なのだが、そんなことはわかりきった上で視ても、『小さな巨人』はおもしろい。極めて良質なエンターテインメント作品となっているし、“キムタク推し”が鼻についた同枠の前クール作『A LIFE』の数倍おもしろい。視聴率も『A LIFE』超え確実ではないだろうか。

 今後も正義感丸出しで香坂は、渡部ら所轄の冴えない部下たちと捜査に邁進し、最後は小野田に勝利するというオチは見え見えだが、視ていて爽快だし、普段は会社という組織のなかで理不尽な思いをしているサラリーマンの視聴者たちも、日曜夜に“いいガス抜き”ができるだろう

大ヒットの予感

 加えて、香川や安田をはじめ、脇を固める俳優陣たちもそれぞれが個性を存分に発揮し、ドラマに多彩な色を添えている。捜査第一課刑事で将来を有望視され所轄を完全にバカにする山田春彦役を務める岡田将生も、性格の悪さがにじみ出ていていい味を出しているし、芝署署長の三笠洋平役を演じる春風亭昇太も差別意識丸出しのエリート刑事を好演。さらに、女優陣も香坂の妻役の市川実日子、第2話以降でキーパーソンになることが予想される会社員の吉田羊など、眺めているだけで幸せな気持ちになれる。

 そう、『小さな巨人』はわかりやすいほどに「ヒットするドラマ」の王道を行っているともいえ、「単純」「マンネリ」「『半沢直樹』の二番煎じ」という批判が上がることは必至かもしれない。でも、それのどこに問題があるのだというのだ。多くの視聴者が楽しめるドラマを、きちんと「王道」を守ってつくるTBSの姿勢には、心から拍手を贈りたいと思う。

 今から、大ヒットの予感がする。
(文=米倉奈津子/ライター)

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by amenbou | 2017-04-17 10:11 | 批評 エッセイ | Trackback | Comments(0)

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