保守系メディアからも危険視される安倍政権と日本会議

憲法改正「読売」首相独占インタビューに“張り切る”「産経」、“キレる”「東京」
今年の憲法記念日「朝刊」各紙が歴史的に面白かった理由 

【週刊文春】2017.5.12 http://bunshun.jp/articles/-/2452

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 安倍首相の「読売新聞を熟読して頂いて」という国会での発言が話題だ。一体何があったのか。

 まず先週の「憲法記念日」の朝刊1面は歴史的な面白さだった。首相の発言が無くても読み比べ好きとしてはここで振り返ってみるつもりだった。

 まず「朝日」と「産経」の1面をご覧いただきたい。

「憲法GHQ草案 昭和天皇『いいじゃないか』」(朝日)

「憲法70歳。何がめでたい」(産経)

 護憲派と改憲派で「新聞おじさん」たちの主張が炸裂!

 ほかは「若者 移ろう憲法観」(毎日)、「改憲 現実テーマに」(東京)、「憲法改正、賛否が拮抗」(日経)。

読売の首相独占インタビューとナベツネ

 しかし何と言っても話題を呼んだのは「読売」だった。

「憲法改正20年施行目標 9条に自衛隊明記 首相インタビュー」

「読売」が仕掛けてきた。安倍首相のインタビューを1面に載せたのだ。冒頭で紹介した首相の発言は、これを指す。首相は憲法改正の期限を「2020年施行」と区切り、9条改正に取り組むとの考えを表明した。

 護憲派の「朝日」の驚く顔が想像できる。ではなぜ2020年なのだろう? 「読売」で首相はこう説明している。

《私はかねがね、半世紀ぶりに日本で五輪が開催される2020年を、未来を見据えながら日本が新しく生まれ変わる大きなきっかけにすべきだと申し上げてきた。》

 かつて日本は1964年の東京五輪を目指して大きく生まれ変わったとし、

《2020年も、今、日本人にとって共通の目標の年だ。(略)新しい日本を作っていくこの年に、新たな憲法の施行を目指すのはふさわしい。》

 読売のインタビュー掲載までの流れを「朝日」は翌日に載せた。

《今回の憲法改正の方針表明に向け、首相は事前にメディアにも対策を打った。4月24日夜、都内の料理店で、憲法改正試案を紙上で発表している読売新聞の渡辺恒雄・グループ本社主筆と食事。その2日後に東日本大震災をめぐる問題発言をした今村雅弘・前復興相を更迭した直後、同紙のインタビューを受けている。》(5月4日)

 出た! ナベツネ。「憲法記念日」に改憲インタビューを載せるという仕掛けにはこんな流れがあったわけです。

「朝日」よりビシッとモノ申した「東京」の矜持

 各紙は「首相は今なぜ」についてどう解説したのか。まず「朝日」は、

《衆参で3分の2の改憲勢力があるのに、与野党協調を重視する憲法審査会では改憲案発議への展望が開けないことへのいらだちがのぞく。保守派の不満も高まり、これに応える必要もあった。》

 と解説。

 続いて「東京新聞」。「期限と項目示し 議論の加速狙う」(5月4日)

「朝日」の解説と同様だが、そのあと「東京」はこう指摘する。

《権力の乱用を抑制し、個人の人権を保障する憲法をどう変えるかは、五輪開催と全く関係ない。》

《国民主権を明確にうたう憲法は、国民が権力者に守らせるルールと言える。そのルールをいつまでに、こう変えると首相が独断で決めるとしたら、立憲主義に反する。》

 ビシッ!

 こういうのを読むと「朝日」の購読者獲得のうえでのライバルは「読売」「産経」ではなく、同じリベラル派で「朝日」よりも最近キレがある「東京新聞」ではないかと思うのです。

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 次は「毎日」の解説にいこう。「首相主導で良いのか」(5月4日)

《首相には衆参両院の憲法審査会の議論が思うように進まない焦りもあるのだろう。》

《首相は「国民的な議論と理解」を呼びかけた。そのためには、首相が議論を主導するより、国会に委ねる方がいい。》

嬉しそうだけど、寂しそうな「産経」

 一方、「読売」と論調が近い「産経」はどう書いているのか。

《安倍晋三首相が、いよいよ憲法9条改正への意欲を鮮明にし、「2020(平成32)年の施行」と具体的な目標まで設定した。首相がここまで言及したのは、国民投票と国政選挙の「ダブル選挙」が念頭にある。「加憲」を掲げる公明党に配慮して、長年の持論の実現に向け動き出したのだ。》(5月4日)

「産経」、とても嬉しそう。

 首相は来年の9月に自民党総裁としての任期が終わる。3選出馬し当選すれば2021年9月までが新しい任期。そのなかで国民投票とのダブル選挙を仕掛けるのなら「18年秋の衆院選」と「19年夏の参院選」だと「産経」は張り切って解説する。

 でも読んでいて気づいたのだけど、これってつまり「安倍首相の任期」の問題ですよね。東京五輪と憲法改正は関係ないことが逆にわかる気がするのだが。

 あと、今回の読み比べでは「産経」の気持ちが少し気になった。「憲法70歳。何がめでたい」と1面で派手に主張した日に、「読売」に首相の改憲インタビューが独占で掲載された。同じ保守派なのになんで「読売」だけに……寂しい……という気持ちはなかったか?

 その証拠に、翌日に「産経」は「2020年 新憲法を施行」と1面に書いたのだが、「改憲派が都内で開いた集会にビデオメッセージ」と報じた。読売インタビューについては一切触れていないのだ。

 産経おじさんの「読売独占。何がめでたい」というぼやきが聞こえてきそうな読み比べでした。

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by amenbou | 2017-05-13 11:42 | 批評 エッセイ | Trackback | Comments(0)