名優の光と影

BS11のあのスターにもう一度逢いたい「田宮二郎 名優の光と影」(8/29)をみた。

田宮二郎(1978年12月28日死亡、43才)
  港区元麻布の自邸で散弾銃で自殺。ベッドに入り、足の指で引き金を引いたものらしく、弾は心臓部に直径3センチの穴をあけ即死。彼は死ぬ10カ月前に3億円の生命保険に入っており、生命保険は1年以内に自殺した場合、保険金は支払われないという規約があるが、彼の場合には欝病と認められ、保険金が支払われた。1月12日、青山齋場で行なわれた葬儀で勝新太郎が弔辞を述べた。

 「田宮、おれはお前なんか大嫌いだった。あっち向いたらこう、こっち向いたらああ、お前の死顔を見るのもいやだったんだ。”よーいスタート”、カチン、その後で芝居をする。そんな顔なんか見たくなかったんだ。と思って見たら、楽な、いい死顔しているじゃないか。おれは救われた。生きているとき、どうしてああいう顔をしていなかたんだ。」

 勝新が田宮を嫌ったというのは、番組で『悪名』で共演した江波杏子が「勝さんは東京で、田宮さんが京都の方なので〝その関西弁の使い方は違う〟とアドバイスしていた」と語るように、主役(朝吉親分)の勝新は生真面目な田宮(モートルの貞/清次)の〝演技指導〟がおもしろくなかったのだろう。確かに演技力のみならず、役の幅も田宮の方が断然上回っていた。大映を解雇されてもキャバレーの司会からクイズタイムショックの司会、ドラマ『白い巨塔』の主演と生真面目に生き抜いた結果として心を病んで猟銃自殺したのは残念だった。長男があの世で母に詫びてくれの言葉には泣けた。

「ネット右翼」は日本に何万人いるのかを測る、ひとつの試み 彼らの職業、年齢構成は?
【現代ビジネス】2017.8.24 http://gendai.ismedia.jp/articles/-/52663

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前回記事の最後に、不肖筆者は〈「ネット右翼誕生前夜=Dawn of the Online right-wingers」の胎動を書き示す〉と予告をしてしまったが、これを撤回したい。本格始動を行う前に今一度、読者諸賢と共有しておくべき前提条件が他にもありすぎると感じたからだ。

大変申し訳ないが、本格的にネット右翼史に入るまでに、ネット右翼に関する基礎的な了解事項をもう少しだけ整理しておこう。

「ネット右翼=社会的底辺層」説の嘘

ネット右翼が勃興し始めた2002年から、今年2017年で15年の区切りとなることを奇貨としてスタートした本連載だが、この間、現在に至るまで都市伝説的に信仰されている「ネット右翼=社会的底辺層」説を今一度点検し、これを否定しておこう。

前回記事の最後に、不肖筆者は〈「ネット右翼誕生前夜=Dawn of the Online right-wingers」の胎動を書き示す〉と予告をしてしまったが、これを撤回したい。本格始動を行う前に今一度、読者諸賢と共有しておくべき前提条件が他にもありすぎると感じたからだ。

「ネットで差別的な言動を取るネット右翼の正体は、無知文盲の低学歴・低収入の貧困層である」という風説は、未だにちらほらと噴出してくる。これは明白な嘘であると言わなければならない。

例えば2013年に筆者が行った調査(詳細は拙著『ネット右翼の終わり』晶文社などに詳述)によると、ネット右翼の平均年収は約450万円(日本人の平均年収と同程度)、四大卒(中退者を含む)は6割を数え、その平均年齢は38歳強、男女比はおおむね3:1程度、主に東京・神奈川を中心とした首都圏在住者が全体の2/3に迫る。最も多い職業は「自営業者」であり、会社員であっても「管理職」といった他の労働者に対して指導的立場にある者が多かった(表1)。

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表1 ネット右翼の平均的人物像(調査・作成は筆者)

これをみると、ネット右翼とされる人々の社会的位置づけは、底辺というよりも、一言で言えば「大都市部に住むアラフォーの中産階級」である、となる。

差別的発言、排外的発言を開陳するネット右翼は、その言葉遣いだけを見ると無知文盲のごとく観測されるので、ネット右翼の社会的イメージは「低学歴、低収入の貧困層=社会的底辺層」とされがちだが、それは大きな間違いなのである。

第1回でも述べたが、数えきれないネット右翼と実際に接してきた私でも、この調査結果は皮膚感覚と符合する。

「 朝鮮人を日本から追い出そう」「シナの工作員がテレビ局に入り込んで反日工作に勤しんでいます」などの、差別発言やトンデモ・陰謀論を開陳するネット右翼の中には、医者、税理士、中小企業経営者、個人事業者、不動産業、会計士、学校教員、地方公務員など、社会的に相応の立場にある人々がなんと多かったことだろうか。

学歴や年収の高い、つまり社会的地位の高い者はネット右翼になるわけがない。彼らは差別的な発言やトンデモ陰謀論を信じたりはしない――という根拠なき信仰こそが、「ネット右翼=社会的底辺」説を常に支えているのだが、繰り返すようにこのような思い込みは何の根拠もない。

「中間階級」がファシズムの担い手になる

政治学者の丸山眞男は戦前の日本型ファシズムを支えた主力を、「中間階級第一類」とした。それはすなわち、中小の自営業者、工場管理者、土地を持つ独立自営農民や学校教員、下級公務員であり、企業でいえば中間管理職や現場監督などの下士官に相当する中産階級である。

これに対して「中間階級第二類」とは、大学教授や言論人などの文化人や、フリージャーナリストなどの知的労働に従事するインテリ階級であり、こちらは日本型ファシズムに対し終始冷淡であった、としている。

現在のネット右翼は、丸山眞男の定義する日本型ファシズムを支えた主力、つまり「中間階級第一類」に驚くほど酷似しているといわなければならない。彼らこそが、政府・大本営の発表を鵜呑みに、翼賛体制の一翼を担って「鬼畜米英」を唱え、一方唱えぬものを「非国民」と呼ばわらしめた社会の主力だったのである。

右傾化の主力は「貧困層、社会的底辺層」であるとか、「貧困であるがゆえの鬱憤を差別発言によって発散している」などというのは根拠なき幻想であり、いつの時代でも、常に右傾化を支える主力は社会の中間を形成する中産階級なのである。

そして現代の「中間階級第一類」たるネット右翼は、なまじの中産階級であるがゆえに、可処分所得や可処分時間が多く、インターネットの世界にのめり込んでいく。さらにお気に入りの保守系言論人・文化人に寄生し、彼らの著作や会員制の有料サービスを購入する、という購買力を持つのである。

もしネット右翼が社会的底辺であり、貧しき弱者の存在であるなら、保守系言論人・文化人に「寄生」と「(著書購入等の)見返り」の関係で共依存している関係性を説明することはできない。

彼らの小ブルジョワ的無数の購買力が、彼らに「寄生」される保守系言論人・文化人の生活を支えているのである。

ネット右翼は全国にどれだけいるのか

一時期のような猛烈な勢いは失われつつあるものの、未だにネット上に跋扈(ばっこ)し、またそれがゆえにネット世論の右傾化をリードしているようにも思えるネット右翼の全国的趨勢は、いかばかりなのだろうか。つまりネット右翼は全国に何人くらい、何万人ぐらいいるのだろうか。これは、彼らを語るうえで避けて通ることのできぬ前提事項である。

ネット右翼の実数は、近年まで謎のベールに包まれていた。日頃ネット右翼が極めて右派的、保守的な思想傾向を「宿主」である保守系言論人・文化人に寄生することで開陳しているのは、すでに第1回の記事で述べたとおりであるが、彼らの実数をうかがい知ることは困難であった。

なぜなら最も有力な指標となる国政選挙において、ネット右翼の投票行動のほとんどは自民党票に吸収されてしまい、全国的概数を知ることができなかったからだ。

これが、「日本の左派(左派寄りの無党派層を除く)の実数はどの程度か」という質問ならわかりやすい。彼らの思想傾向を代弁する国政政党、日本共産党と社会民主党の全国比例区での総得票数が、おおむねだがその答えを教えてくれる。投票率にもよるが、おおよそ前者は400~600万人、後者は100~150万人である。

ある種の宗教団体がバックとなって設立された政党の比例代表の総得票数をもって、その教団の信徒数の概数を推察できるのと同様、ネット右翼のそれも、本来であれば彼らの思想傾向を代弁する国政政党の比例代表総得票数を以ってその実数を推し量ることができるはずだ。

しかし、前述の理由によりネット右翼の思想傾向を代弁する全国政党は存在せず、長年の間そのほとんどが自民党への投票に紛れてしまっていたため、分別は困難であった。

このような状況が一変したのが、2014年11月の衆議院総選挙である。

この選挙を控えた同年7月、主に日本維新の会から分派して「次世代の党(現・日本のこころを大切にする党)」が結成された。同党は「自民党よりも右」を標榜して、ネット右翼に圧倒的な人気を誇った田母神俊雄元航空幕僚長などを擁立し、積極的にネット右翼層への浸潤を図った。ネット右翼の持つ思想的傾向を、初めて国政レベルで代弁する党こそが、この「次世代の党」であった。

総選挙の結果、「次世代の党」は比例代表で総得票数約141万5000票を獲得したものの、公示前の19議席から17議席を減らして2議席となる壊滅を喫した。

一方で筆者は当時、同年1月に行われた猪瀬直樹東京都知事辞任を受けての出直し都知事選挙で、ネット右翼から圧倒的な支持を集め立候補した田母神氏が約60万票を獲得したことを受け、ネット右翼が首都圏に偏重していることを加味して、ネット右翼の全国的実数をおおむね200~250万人と予想していた。

「次世代の党」の総選挙における比例代表総獲得票数も、投票率が50%強であったことを加味すると、やはりその支持層の全体は概ね200〜250万人として差し支えなく、この選挙においてはじめて、ネット右翼の全国的実数の概要が判明したのである。

この選挙を控えた同年7月、主に日本維新の会から分派して「次世代の党(現・日本のこころを大切にする党)」が結成された。同党は「自民党よりも右」を標榜して、ネット右翼に圧倒的な人気を誇った田母神俊雄元航空幕僚長などを擁立し、積極的にネット右翼層への浸潤を図った。ネット右翼の持つ思想的傾向を、初めて国政レベルで代弁する党こそが、この「次世代の党」であった。

総選挙の結果、「次世代の党」は比例代表で総得票数約141万5000票を獲得したものの、公示前の19議席から17議席を減らして2議席となる壊滅を喫した。

一方で筆者は当時、同年1月に行われた猪瀬直樹東京都知事辞任を受けての出直し都知事選挙で、ネット右翼から圧倒的な支持を集め立候補した田母神氏が約60万票を獲得したことを受け、ネット右翼が首都圏に偏重していることを加味して、ネット右翼の全国的実数をおおむね200~250万人と予想していた。

「次世代の党」の総選挙における比例代表総獲得票数も、投票率が50%強であったことを加味すると、やはりその支持層の全体は概ね200〜250万人として差し支えなく、この選挙においてはじめて、ネット右翼の全国的実数の概要が判明したのである。

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これら直近二つの国政選挙を通じて、「ネット右翼の全国的実数は200~250万人程度である」という筆者の説はますます補強された。この200万人余の人々の書き込みやヘイトスピーチがネット上に溢れ、まるでインターネットの世界がすべて右傾化しているように観測させ、さらにはそれが日本の世論のごとき錯覚を与えているのであるが、実数は最大でも200万人程度と、そこまで多くはない。

インターネットの世界では肥大化して見える彼らの「勢力」の実際は、この程度なのである。

恐れる必要はないが、無視もできない

このようにして、ネット右翼の正しい全国的実数を知れば、ネット右翼が日本の世論を代弁しているわけでは決してない、ノイジー・マイノリティであることがわかるだろう。ネットだけを観測し、「彼らの声こそ世論だ」とするのは、誤解を通り越して錯覚、錯誤の類であるといわなければならない。

ネット右翼からの批判を恐れて口をつぐむ者がいるとすれば、彼らの実数を不当に過大評価しているからである。実際には、日本のネット人口をざっと1億人とすれば、残り9800万人はネット右翼ではないのだから、何ら恐れる必要はないのである。

むろん200万人という数は、マイノリティではあるが無視できるものではない。なにせ政令指定都市の札幌市(人口約195万人)や長野県や岐阜県(人口約200万人)と同等以上の規模なのだから、まったく無視してよいほどの規模というわけではない。

ネット右翼とはいったいどのような人々なのか、そして彼らはこの国にどの程度の数存在しているのか。正しい知識を持ったうえで、さていよいよ次回からは本当に、〈「ネット右翼誕生前夜=Dawn of the Online right-wingers」の胎動を書き示す〉こととしよう。読者諸兄におかれては、長駆お付き合いのほどを、何卒お願い申し上げる所存である。

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by amenbou | 2017-08-30 12:06 | 批評 エッセイ | Trackback | Comments(0)